予防歯科の3DSについて

歯科で3DSという言葉をたまに聞くことがあるかもしれません。
この方法は、歯の周囲の細菌を薬品を用いて殺菌する際に、うがいのようにお口全体を殺菌するのではなく、
歯の周囲をカバーするマウスピースを作って、その中に殺菌剤を入れて、殺菌してしまおうという取組です。
Dental Drug Delivery Systemという名称を略して3DSとしたものです。
歯に薬を届ける方法という意味になります。

うがい薬などで、頻繁にお口全体を殺菌すると、虫歯や歯周病以外の病気に関係ない良い細菌も死滅してしまう可能性があり、問題だからです。
細菌はいろいろな種類がお互いに競争しながら共存することで、一つの細菌だけが増えてしまうことが起こりにくくなっています。
ところがせっかくできたこの関係をすべて殺菌してしまうと、その後に入って来た細菌にとっては敵のいない環境で、その菌だけが爆発的に増える可能性があります。

これは非常に危険で、一つの細菌の影響が極端に強く作用してしまい、病気が発生する可能性が高くなります。
これが全身で起こった場合は、死に至る可能性もあるわけで、大病院などで院内感染で人が死亡する場合は、
たいていはこの現象だとも言われています。入院患者に抗生物質を大量に使用し、院内を徹底的に殺菌した場合、
抗生物質や殺菌剤が作用しない種類の細菌だけが増えてしまい、その毒性が強い場合、院内感染の死亡事故となることがあるわけです。

話しを元に戻しますが、お口の中でも同じことが言えて、死には至りませんが、良い細菌は殺さない方が良いということになります。
この方法は、2000年頃に国立感染症研究所の花田先生によって開発された方法で、私も当時セミナーに通って、
この方法を今でも行っています。ネットで検索すれば、比較的いろいろな歯科医院で行われている方法です。
使用する薬剤は虫歯菌、歯周病菌を殺菌する効果のある比較的効果の高いものを用います。

ここで一番重要なことが、3DSで薬を作用させる前に、必ず歯の表面の細菌の膜を、
機械に付けたブラシなどで、研磨剤をつけてきれいに取り除かなければならないということです。
細菌の膜は台所の流しのヌルヌルした汚れのように、非常に強力な膜で、内部まで殺菌剤が入り込めない場合が多いため、
まずは膜を破壊しなければなりません。台所であれば漂白剤を使えばきれいになりますが、
口の中には漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)は刺激が強すぎて使用できませんので、研磨剤でこすって取るしかありません。

その後、マウスピースに薬を入れて5分ほど殺菌を行います。
歯科医院で行った後に、家でも刺激の少ない薬品で殺菌を行ってもらいます。
実際の方法は別のブログに詳しく書きますので、よろしければ参考にしてください。

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